保志総一朗・石田彰

碧の子宮 – 保志総一朗・石田彰

…魂とは何だ
魂とは何処にあるのだ
そう己に問うていることが不可思議でならない…

樹齢の渦の中へ
湧水の波紋の中へ
迷い込んでいた精神… その時、私は道具だった…

無情の鐘は止みて
天地の呪縛は解け
はらり涙の散華

…無から有へ、その瞬間が私にも存在した
それを「誕生」だとお前は教えてくれた
私が塵の中、あるいは地中から、
まじないにより形作られた器だとしても、
お前は私という器に、暖かな涙をそそいでくれたのだ…

かすかな光さがし求めて
生まれ出づる美しさよ
全ては無垢な 尊き生命
遥か宙は 碧色の子宮

…どうしたというのだ、瞳から落ちた雫
私は泣いたのか、人は泣きながら産まれると聞いた
お前の涙、 その清らかな羊水(みず)に包まれ
私は人になれたのか…

螺旋の輪廻は巡り
無限の笛は響く
そして祈りは届く …その時、私は人になった…

生命が想いを遂げ
身体を手放す時
そっと羽ばたく魂

あなたを慕い時空を越えて
宿る時はいつもそばに
全ては無垢な 意味ある宿命
遥か宙は 碧色の子宮

永遠に …無から有へ…

永眠らない …有から無限へ…

魂は羽ばたく …お前という光に向かって…

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