佐野文香

人恋椿 – 佐野文香

貴方を愛した せつなさで
私は一夜の 花になる
こころも痩せて 身も痩せて
逢えない夜に 焦がれ咲く
夢の花です… 人恋椿

貴方を誰かに 奪(と)られたら
生きてはゆけない この世では
くれない色に 染まる肌
やさしい胸に 躰(み)を投げる
罪の花です… 人恋椿

貴方の寝顔の 愛おしさ
いのちがやすらぐ 腕まくら
情けの淵に 咲いたって
夜明けになれば 散る宿命(さだめ)
露の花です… 人恋椿

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くれない桜 – 佐野文香

花のさかりを 修羅の道賭けて流れの 旅空夜空おんな一代 命はひとつ…野暮がもの言う 浮世とやらに咲かす誠の くれない桜髪の乱れの ひとすじに秘めてかくして 散り

なごり雨 – 佐野文香

ひとりで生きて ゆけるねと男の泪を 見せたひと逢いたい…逢えない… あのひとのやさしさを…こころでそっと 数えれば肩に冷たい 女のなごり雨蛇の目の傘に 寄り添っ

くれない仁義 – 佐野文香

恋に咲いても いのちはいのち義理に散っても 花は花おひかえなすってこの道 開けてもらいましょうか…女だてらに 仁義きる肌はくれない 鉄火肌変る時節を 嘆きはせぬ

愛染橋 – 佐野文香

好きなだけでは 添えない恋の涙隠した 泣きぼくろいつか も一度 抱かれてみたい女ごころの 願い川愛染橋の めぐり逢い…私ひとりの あなたにしたいそれは女の 罪で

終着みなと – 佐野文香

今日から俺の おまえだとお猪口差しだし 夢を酌ぐあなたの笑顔が 嬉しくて思わず涙が こぼれたの浮草みたいな 女だけれどあなた…あなたが… 終着みなと苦労に痩せた

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