佐藤善人

湯田川の月 – 佐藤善人

一歩踏み出しゃ 戻れない
まして男の 生きる道
夢を背おって 故郷(くに)を出て
浴びた浮世の 雨や風
無駄にするまい この命
ひとり浮かべる 湯田川の月

ついて来るなと 云いながら
向けた背中の やるせなさ
まぶた閉じれば 見えてくる
愛(いと)しあの娘(こ)の 泣きぼくろ
忘れられよか 峠道
あれは八月 湯田川の月

ひとつ越えても その先に
続く試練の 山がある
落ちて ころんで はい上がる
口に出すまい 泣き言は
今は我慢の 月見草
夢が道づれ 湯田川の月

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笹川流れ – 佐藤善人

海に張り出す 岩の群れ海猫ばかりが 鳴いて飛ぶ苦労三年 まだまだ五年汗は心の しぼり汁夢の積み荷の 重さだけ生きて甲斐ある 笹川流れ夏と冬では 姿を変える朝陽(

最上峡 – 佐藤善人

山が高けりゃ 谷間も深いけ落されたら はい上がれ凛として たじろがず迷わず恐れず 振り向かず夢はひと筋 夢はひと筋 最上峡鷹よおまえは 何故越えて行くあんな険し

みちのく遠花火 – 佐藤善人

紅葉(もみじ)が燃えて 秋が往(ゆ)き湯けむり恋しい 冬がくる好きで別れて 都会の暮らし責めているよな 風便りごめんごめんよ それ切りで忍ぶみちのく 遠花火達者

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