佐藤千夜子

波浮の港 – 佐藤千夜子

磯の鵜(う)の鳥ゃ 日暮れにゃ帰る
波浮の港にゃ 夕やけ小やけ
明日の日和は ヤレホンニサ なぎるやら

船もせかれりゃ 出船の仕度
島の娘たちゃ 御神火(ごじんか)ぐらし
なじょな心で ヤレホンニサ いるのやら

島で暮らすにゃ とぼしゅうてならぬ
伊豆の伊東とは 郵便だより
下田港とは ヤレホンニサ 風だより

風は汐風 御神火おろし
島の娘たちゃ 出船のときにゃ
船のとも綱 ヤレホンニサ 泣いて解く

磯の鵜の鳥ゃ 沖から磯へ
泣いて送らにゃ 出船もにぶる
明日も日和で ヤレホンニサ なぎるやら

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愛して頂戴 – 佐藤千夜子

ひと目見たとき 好きになったのよ何が何だか わからないのよ日暮れになると 涙が出るのよ知らず知らずに 泣けてくるのよねえねえ 愛して頂戴ねねえねえ 愛して頂戴ね

ゴンドラの唄 – 佐藤千夜子

いのち短し 恋せよ 少女朱き唇褪せぬ間に熱き血潮の冷えぬ間に明日の月日のないものをいのち短し 恋せよ 少女いざ手を取りて彼の舟にいざ燃ゆる頬を君が頬にここは誰も

紅屋の娘 – 佐藤千夜子

紅屋で娘の云う事にゃサノ 云う事にゃ春のお月様薄曇りトサイサイ 薄曇りお顔に薄紅つけたとさサノ つけたとさ私も薄紅つけよかなトサイサイ つけよかな今宵もお月様空

東京行進曲 – 佐藤千夜子

昔恋しい 銀座の柳仇な年増を 誰が知ろジャズで踊って リキュルで更けて明けりゃダンサーの 涙雨恋の丸ビル あの窓あたり泣いて文書く 人もあるラッシュアワーに 拾

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