佐藤千夜子

東京行進曲 – 佐藤千夜子

昔恋しい 銀座の柳
仇な年増を 誰が知ろ
ジャズで踊って リキュルで更けて
明けりゃダンサーの 涙雨

恋の丸ビル あの窓あたり
泣いて文書く 人もある
ラッシュアワーに 拾った薔薇を
せめてあの娘の 思い出に

ひろい東京 恋ゆえ狭い
粋な浅草 忍び逢い
あなた地下鉄 わたしはバスよ
恋のストップ ままならぬ

シネマ見ましょか お茶のみましょか
いっそ小田急で 逃げましょか
かわる新宿 あの武蔵野の
月もデパートの 屋根に出る

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愛して頂戴 – 佐藤千夜子

ひと目見たとき 好きになったのよ何が何だか わからないのよ日暮れになると 涙が出るのよ知らず知らずに 泣けてくるのよねえねえ 愛して頂戴ねねえねえ 愛して頂戴ね

波浮の港 – 佐藤千夜子

磯の鵜(う)の鳥ゃ 日暮れにゃ帰る波浮の港にゃ 夕やけ小やけ明日の日和は ヤレホンニサ なぎるやら船もせかれりゃ 出船の仕度島の娘たちゃ 御神火(ごじんか)ぐら

ゴンドラの唄 – 佐藤千夜子

いのち短し 恋せよ 少女朱き唇褪せぬ間に熱き血潮の冷えぬ間に明日の月日のないものをいのち短し 恋せよ 少女いざ手を取りて彼の舟にいざ燃ゆる頬を君が頬にここは誰も

紅屋の娘 – 佐藤千夜子

紅屋で娘の云う事にゃサノ 云う事にゃ春のお月様薄曇りトサイサイ 薄曇りお顔に薄紅つけたとさサノ つけたとさ私も薄紅つけよかなトサイサイ つけよかな今宵もお月様空

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