佐田玲子

掌 – 佐田玲子

うつむきがちに 私は
掌をみつめてる
自分の人生を見つめている
つかみそこねた愛を
指でそっとたどって
ためらいに疲れて ため息つく
今より少しでいいから
勇気があれば
あなたのあたたかい指を
離さずにすんだのに
ありきたりの別れなど
しなくてすんだのにと

流した涙の数を
指折りかぞえみる
ついているついてないとかぞえてみる
いつの間にか私の
悲しみの数の方が
自分の年よりも増えてしまった
掌を鏡に写しさよならと云ってみる
いつもと同じ笑顔でこうして別れた
そしていつもこの涙を拭うのも私の手

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