佐伯一郎

王将一代 – 佐伯一郎

たった一寸 小さな駒に
男五尺の いのちを乗せる
浪速根性 どろんこ将棋
暴れ飛車だぞ 勇み角
意地を通して 泣かせた駒に
詫びる三吉 誰が知る

長屋暮らしの しがない身でも
何時か王将 夢みるふたり
冷えた小鍋の 豆腐のくずを
笑顔ですくう ああ小春
俺の宝は おまえと将棋
生きるつらさを かみしめる

星が流れる 東の空へ
明日は勝ちたい でっかい将棋
運は引き寄せ この手でつかめ
淀の流れが 渦を巻く
義理の重ね着 ずっしり重く
坂田三吉 月を見る

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壷坂しぐれ – 佐伯一郎

妻は夫をいたわりつ、夫は妻に慕いつつ…山の瀬あらう せみしぐれあれはお里の 呼んでる声か…一寸先まで この世は闇夜男 沢市 思案の渕に命捨て身の 露ひとしずく越

無法松・小倉春秋 – 佐伯一郎

そーら! どいた どいた どいた小倉の松五郎を知らんのかヨーッ オリャーッ酒だ喧嘩だ! 荒くれ者んだ何処のどいつだ! 文句があるか!親を知らない 母恋草が度胸根

命の酒 – 佐伯一郎

打(う)ちあけられず 人(ひと)にも云(い)えず想(おも)いは よごと 増(ま)すばかり笑(わら)ってくれるな 路地裏(ろじうら)しぐれ自棄(やけ)に未練(みれ

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