中村美律子

  • ふうふ – 中村美律子

    縁(えにし)の糸に この手をひかれ心を結んだ 夫婦です今じゃ思い出 涙の川もともに越えて来たふうふ ふうふと 云いながらのぼる二人の 絆坂 男は空を 見上げるけれど女は小径(こみち)の 石を見る転ばないかと 心配なのよあなた気をつけてふうふ ふうふと 云いながらのぼる浮世の 苦労坂 咲かせましょうね もうひと桜(ざくら)女房はうぐいす 春を呼ぶ情け灯(とも)して よりそう旅路これもエンヤコラふうふ…

  • 親不孝伝 – 中村美律子

    欲しい欲しいの 児じゃないが飯盛り女の お母ァが逢いたがってる 泣いてるときけばやっぱり 辛くなる生まれ越後は 捨てた越後は 親不知 「にいさん 盥(たらい)渡しって知ってるかい産湯を使う盥のことだがその盥の儘 里子に出されたのが俺だァ親の味も情も知らねェだがね 人の道は知ってるよ誰が教えてくれたのか? お天道さまだよお天道さまだけは俺を見捨てたことがなかったよ」 親のあと追う 雁みればやり方 仕…

  • 酔いしぐれ – 中村美律子

    酒場どおりに そぼ降る雨はお前の涙か 懺悔(ざんげ)の粒か詫びりゃチクリと 胸を刺す酒の水面(みなも)に 泣き顔が浮かんで揺れる 酔いしぐれ 運命(さだめ)哀しい 浮世の風もあなたとだったら 寒くはないと言ったお前に 背を向けてひとり願った しあわせを悔やんで呷(あお)る 酔いしぐれ 花が散るよに ネオンが消えりゃ未練の残り火 ポツリと灯(とも)る夜も更けゆく 居酒屋で酒の水面の 面影に瞼(まぶた…

  • 愛染のれん – 中村美律子

    男は一途に 夢を漕(こ)ぎ女は優しく 舵(かじ)を取る祈願千日 水掛不動(みずかけふどう)やっと叶った 二人のお店トントンとんぼり 法善寺夫婦割烹(めおとかっぽう) 愛染(あいぞめ)のれん 亭主(あんた)が板場の 主役なら私はもてなす 恋女房演歌横丁 涙を切って苦労買いましょ 二人の絆トントンとんぼり 法善寺迷う道ない 提灯(ちょうちん)あかり 時節(じせつ)が浪花を 七変化(しちへんげ)変わらぬ…

  • 明けの明星 – 中村美律子

    泣く日笑う日 いろいろあるとそっとつぶやく ひとり言眠れぬままに 見上げれば明(あ)けの明星(みょうじょう) 明々(あかあか)と負けたりしない 今は つらくても涙ぬぐって 涙ぬぐって 生きて行(ゆ)く 好きと言えずに 別れた人の後ろ姿の なつかしさ心に残る 面影を明けの明星 映し出す元気でいれば いつか また会えるそっと思い出 そっと思い出 抱き寄せる 人と幸せ 比べてみてもつらいだけです なおさ…

  • 銀の雨 – 中村美律子

    名なし宿なし 甲斐性なしと微笑(わら)い流せる ひとが好き口の悪さは その裏がえし赤いちょうちん 浮世坂「あなた…」いいわね 寄り道も外はにわかの 銀の雨 人のご縁は つながるように出来ているのね いつの世も肩を並べて お酒に酔って口の滑(すべ)りも うれしくていつか故郷の あの歌に雨も合いの手 銀の雨 使い古しの お店の傘を借りて手にして たわむれてそうよまだまだ 相合い傘もきっと絵になる 私た…

  • 命の花道 – 中村美律子

    渡る世間の 身を切る寒さ弱音吐いたら 苦労が笑う 苦労が笑う夢は夢でも 叶わぬ夢をエンヤコラ ドッコイショ叶えてみせる いつの日か飾る 飾る 命の花を 花道を 言葉なくても 目を見りゃ判る惚れりゃ尚更 心が見える 心が見えるあれは祭りの 太鼓の音かエンヤコラ ドッコイショ路地から路地に 鳴り響く続く 続く 命の花が 花道が 雨に明日が 隠れていてもやがて日が照る 朝日が昇る 朝日が昇る生きて一生 …

  • 母ちゃんの挽歌 – 中村美律子

    苦労を数えちゃ いけないといつも母ちゃん 云っていた親子三人 川の字でせんべい布団で 寝てた頃そんなあの日が 笑ってる夕陽の向こうで 笑ってる 貧しい暮らしで 教わった生きる辛さも 幸せも月に一度の もつ鍋を囲んだ夕餉(ゆうげ)の 笑い声思い出します あの匂いカタカタやかんの 音がする 母ちゃん寒くは ないですか空を見上げて ひとり言早いもんです 二十年あなたを浮かべて 手を合わす今度生まれてくる…

  • 明日の風 – 中村美律子

    夜空を見上げる あんたの頬(ほほ)に涙が一筋 光って落ちたあんたの涙は わたしの涙ひとりぼっちや ないからね生きて 生きて 生きて 生き抜いて明日は 明日の 風が吹く 握ったこぶしの 悔しさ辛さ笑って蹴散らし チャンスにしようあんたの痛みは わたしの痛み背負いこまずに 前を見て生きて 生きて 生きて 生き抜いて明日は 明日の 風が吹く あんたの未来は わたしの未来春は必ず 巡り来る生きて 生きて …

  • あんずの夕陽に染まる街 ~ニューバージョン~ – 中村美律子

    ふるさとの駅は 人影もなくてそれでも不思議ね 胸がキュンと鳴く同窓会の 知らせをうけて迷い乍(なが)らも 帰って来たのあの人が好きだった 心に灯(とも)る純情泣きたくなるほど 愛(いと)しい日々があんずの夕陽に 染まってる 髪型も変わり 多少老けてても笑顔で誰だと すぐに思い出すお元気ですか 幸せなんでしょう化粧直して 探してみたのあの人が好きだった 心に残るメロディー切なくなるほど 甦る時あんず…

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