幾多の時を重ね いくらか大人になった
知らずに増えていった 僕の落とし物
少しずつ 熱を帯びる
空気の粒 瞼を閉じて そっと
蒼い夏の空を思い出せば 僕の横、すぐ側に君がいた
今より少し短い髪と 無邪気そうな笑顔で
真上に浮かぶ太陽 むせ返る砂の匂い
全てが懐かしさに 溢れて見える
陽炎に 揺らいでいる
遠い景色 きっと変わらず 今も
僅か濁った胸の真ん中に 痛いほど降り注ぐ蝉時雨
変わりゆくもの 変わらないもの 僕は何を選んだ?
重ねた日々の隙間で 零れ落ちた何か
それを埋められるものを 君が知っている気がして
空の色 樹々の緑
乾いた風 感じるたびに思う
幼い君が望んだ未来の自分に 果たして僕はなれているのかな
少し不安で 怖くなるけど 悲しませたくはないよ
戻りたいと願うこの気持ちは 今を生き抜くためのカタルシス
何かに迷い 疲れたときは 君のことを思い出そう
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