あさみちゆき
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あの日のままのカレンダー – あさみちゆき
10年後の今日 また逢おうとあなたとの約束を まだ覚えてる若すぎた きっと それだけだった別れた 理由なんて10年は 長すぎるよ待つのには 長すぎる10年は 短すぎる忘れるには 短すぎる心の中に今でもあの日のままのカレンダー 倖せってそう 何だろうと考えて立ち止まり ふと空を見る昔より すこし 上手になった心に 嘘つくこと10年は 長すぎるよひとりでは 長すぎる10年は 短すぎる忘れるには 短すぎ…
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冬の花びら – あさみちゆき
咲かない恋の 行く末を愛(いと)しむような 冬の空はらはら 恋しさ 降り積もるあなたと居れば 寒くはないわどうぞ隠してよ このままふたりあぁ あぁ 雪が 雪が舞う 花には花の 咲く春が蝶には蝶の 飛ぶ朝がふたりの明日(あした)は いつ来るのこの世に果てが あるならいっそ越えて行きたいの 帳(とばり)の向こうあぁ あぁ 雪が 雪が舞う 角巻(かくま)きひとつ 身を寄せ合って冬の花びらを 見上げるふた…
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情島物語 – あさみちゆき
瀬戸内海の かたすみにぽつんと浮かぶ 島があるなにもないので 旅人をもてなすことが できなくて情けないので 村人がつけた名前が 情島 なんにもないと ゆうけれどきてみりゃ そこは 夢の島とれたばかりの 小魚は煮てよし 焼いて たべてよし白い浜辺の お座敷で飲めば うたうよ さざなみが ポストのような 灯台にかもめが運ぶ ラブレターそんな日暮れの 風景が汚されないで 残ってる情あふれる 情島忘れられ…
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東京迷子 – あさみちゆき
赤いリボンじゃ 隠せない細い手首の まよい傷放っておけよと ソッポむく渋谷のマリヤは 十二・三歳(ジュウニサン) 両親(オヤ)の面(ツラ)など 忘れたサツバを吐くよに 言い捨てる青いうなじの 幼な顔ケン坊十六歳(ジュウロク) 池袋 あのコも孤独(ヒトリ) このコも孤独(ヒトリ)やさしさ迷子 東京迷子 風の新宿 ビル颪(オロシ)寒さしのぎの 恋遊戯(ゴッコ)ゲーム・オーバー サヨナラじゃピアスも泣い…
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吉祥寺グッバイ – あさみちゆき
今夜あなたに 嘘をつく好きな男(ひと)が 出来ました今日で終わりに しようねと何でもないよに 言いたいの 夢をたくさん くれたからそっとさよなら あげたいのここは終点 吉祥寺あなたは渋谷に 帰るひと バイバイバイ・ララバイバイバイバイ・ララバイ行ったり来たりの 恋を眠らせて 多分あなたは 分かってるそれが嘘だと 知っているだけど淋しく 微笑んで幸せ祈ると 言うでしょう 愛は後悔 しないこと古い映画…
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さよならをいう気もない – あさみちゆき
ハイヒールのかかとが折れて歩けないああ この先へは進めない 歩けないはしゃぎ過ぎた子供がベソをかくようにああ なんて私 ついてない 運がない男と女はいつも悲しい手さぐりで心のやすらぎ求め合うけれど季節を見送る詩人のようにさよならをいう気もない 悲し過ぎて ハイヒールを両手に下げて歩き出すああ この場所へはとまれない いたくないミュージカルの場面のようにおかしくてああ だけど私 歌えない 踊れない男…
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ジーザス小父さん – あさみちゆき
飢えた狼みたいな 瞳(め)をしていたか知れない無垢なからだが 仕方なしに女に変わる頃…家庭(いえ)がどうとか 同情だとか噛みつきたいほど うざったくてホームレスのジーザス小父さん あなたに会えてよかった「生きてりゃいいさ 人間捨てたもんじゃないさ」と強(きつ)いタバコをくれたね通る人は 空きボトルでも蹴るように蔑(さげす)みながら過ぎたけれど段ボールにふたり寝転んで 見上げた星空ジーザス ジーザス…
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夜桜蝶々 – あさみちゆき
十五で覚えた ため息は二十歳のときに 捨てました悲しすぎると 泣けないと知った二十五 夜明け前 大人になったら 汚れると子供の頃は 思ってた三十過ぎて 欲しいのは純愛だけに なりました 夜桜蝶々 飛んでゆけあなたのもとへ 飛んでゆけ闇に咲いても 花は花罪なさだめも 恋は恋Ah Ah Ah …… 泣かない女が 泣くときは愛するひとの 腕の中たった一つの 幸せで百の不幸も 消えてゆく 大きな桜の その…
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オレンジの雪 – あさみちゆき
黄昏れて オレンジの 街に 雪が舞う掌に また掬えば なぜか温かい…母のない 子猫より もっと 傷痕(きず)深くひもじさに 飢えつづけた あれは誰かしら…別れた人のしたこと 死ぬまで赦(ゆる)せないけどふり向く価値もないほど 哀れな男(ひと)だわ恋なんか もう二度とそう 心に 誓ってみたくせに神様の プレゼント今、私はあなたに逢いに行く今、愛しい時間に逢いに行く 友達が 携帯で 見せるツーショット…
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お茶の水暮色 – あさみちゆき
聖橋に 灯がともりニコライの 鐘が鳴る秋の夕暮れ ためいき 心だけが 走り出す 遠い約束色褪せぬままに 二年が過ぎた この街で 暮らした日々をあのひとは 忘れたかしらただ 気に なるの…… 引越しの トラックが坂道を 降りて行く冬の木枯らし 吹いた日 離れてから なお募る 胸の想いに悔いた夜もある 祈った朝も この街の 想い出なんてもうすべて 捨てたのかしらただ 気に なるの… 駅へ向かう 学生が…