季節は風に包まれて — 菅井えり

胸に深く
吸い込んでる
雨上がりの
濡れた樹木の匂いは
言葉じゃない
冷めた都会のなか
忘れかけたメッセージ

小さな鞄に 詰め込んだ未来
歩きだした夢 果てしなくて
くり返し続く 流行る季節を
追いかけてた

さあ 帰ろう
抱えきれない 記憶の中
せつなさに
溢れる 涙 こぼす前に

そう 昔に
口ずさんだ
あのメロディ
ここで生まれたはずさ
小さな街
錆び付いたバス停
いまもかわらないままで

襟元擽る 風は優しくて
背伸びした日々を いやしてゆく
沈むたそがれに 瞳を染めて
思い出した

さあ 帰ろう
目覚め始めた 鳥は歌い
なにもかも
素直になれる そんな 場所へ

眩しい
新緑もやがて 色をかえて
巡りあう
季節は 風が 伝えていた

行き詰まる想い だれもがむかえて
不安な夜程 膝抱えて
振り返る事は 少し勇気が
いるとしても

さあ 帰ろう
抱えきれない 記憶の中
せつなさに
溢れる 涙 こぼす前に

さあ 帰ろう
隠しきれない 悲しみさえ
なにもかも
素直になれる そんな場所へ