悲しい男 — 毛皮のマリーズ

昔、いやロングロングアゴー 彼は
黒い肌をもって 生まれたので
白い目でもって 見られながらに育ち
笑い者のまんま 死んだという

名前がないので 人は彼想う時
悲しい男 と呼ぶ

人は彼を見て笑うだけで
つまり彼には話し相手がいないので
花に話しかけてみたものの
人に笑われて終わりなので

彼は知らない「悲しい」という事を
悲しい男 笑う

あぁ 悲しい男
また一人ぼっち ひとりごち
そして 笑う
あぁ 悲しい男
ただ夜をそっと泣いてみる
そして 笑う

例えば花が枯れそうな時
例えば恋が叶わぬ時
彼は涙をこらえ 笑う
人はまたそれを見て 笑う

生きてればずっと 辛い事知っている
悲しい男 笑う

彼はそしてやっぱり笑いながら
アーリーインザモーニング 死んだ