天使の遺言 — 斉藤和義

死ねなくて 走っているのか
死ぬために 走っていたのか
天国から堕ちて 平らな斜面を
転がる ダイスの様に

逃げたくて すがっているのか
逃げきれず すがってみたのか
乳房の丘の サナトリウムで
心は 震えるばかり

昔天使に もらった手紙を
月の灯りで 読み返してみる
迷うことが 生きることだと
恥ずかしそうに 書いてある

あの日天使は 悪魔に抱かれて
白いお尻を くねらせたらしい
迷うことが 生きることだと
汚れた羽根を 血に染めて

泣く前に 歌えばいいのか
泣き終えてもまだ 歌うのか
アバラの檻に 閉じ込められた
心が 暴れる夜は

昔天使に もらった手紙を
月の灯りで 読み返してみる
迷うことが 生きることだと
恥ずかしそうに 書いてある