LUNA ~砂漠の物語~ — 川嶋あい

砂漠に一つの花が咲きました 海に咲けない赤いハマナスの花
全てを失くしてそっと咲いていました
時間と空だけずっと見つめていました
ある日どこからかやってきた見知らぬ旅人が
ハマナスにひとしずく水をあげた ほほえんでくれた
恋に落ちハマナスは願う 優しいあの人をひきとめて
今ならばすべて叶うような気がしたけど 夢物語
悪い恋だった

砂漠に少しの雨が降りました どこか悲しい静かな雨でした
後姿がにじんで見えなくなる 誰が泣いたか湖は知ってます
さしかかる夕闇は消えて 冷たい花びらに
もうすぐの春がほら通りかかる 信じ咲いていて
どこまでも輝く月の下 やるせない夜数えて眠った
さよならが言えないくらいもう 言葉が気持ちに追いつけない
涙あふれてる

ハマナスの恋は終わってまた 一人ぼっちで咲く花になる
涙雲 一つにとけていく 心の空飛んでいくでしょう
砂漠の物語