南部酒 — 小金沢昇司

酒を飲むなら 肴(さかな)はいらぬ
茶わん ひとつが あればいい
地酒一本 右手において
畳一枚 あればいい
酔えば 南部の牛追い歌か
そろり そろりと また夢ん中
惚れた女は かすりの着物
ひざの枕がヨ あればいい

しぐれ雨なら 瞼(まぶた)を閉じて
故郷(くに)に おふくろ あればいい
胸が痛けりゃ 両手を合わせ
熱い涙が あればいい
酔えば 南部の牛追い歌か
そろり そろりと また夢ん中
二合三合じゃ まだガキの酒
懐(むね)のかたまりヨ 溶かすまで

酒を飲むなら 肴(さかな)はいらぬ
茶わん ひとつが あればいい
地酒一本 右手において
畳一枚 あればいい