朝霧情話 — 大石まどか

朝霧は こらえ切れない 女の吐息
昨夜(ゆうべ)の名残りか 燗(かん)ざまし
何も言わずに 目で詫びて
背中で別れ 告げるひと あゝ
せゝらぎの すゝり泣くよな 風の宿

窓を打つ みぞれ凍(し)ばれて 小雪にかわり
あなたを包んで どこへゆく
障子ほそめに 耳を寄せ
消えゆく靴の 音に泣く あゝ
むらさきの 恋は幻 風の宿

人なみの 明日(あす)を下さい こぼれた花に
ひとりが淋しい しのび酒
箸の袋が 鶴になる
一生ぶんを 愛されて あゝ
しめ直す 帯をきりゝと 風の宿