手紙をください — 和久井映見

手紙をください
受話器を置いたあとも
消えずになんども
ささやいてくれる
やさしい声を

預けてください
ちいさなため息まで
気のきいた言葉
ひとつもなくても
かまわないから

遠い部屋から
時計を気にして
電話をくれた
声の調子で
すぐわかるのよ
疲れてるみたい

愛してください
わたしの淋しさまで
なんにも言わずに
あなたのとなりで
眠れたらいい

朝は早いの?
休みはいつなの?
上着を脱いで
倒れるように 眠る暮らしは
体に毒だわ

とても心配なの
あなたのことが
月の灯りがわたしの替わり
髪に肩に触れてる

熱を出したの?
クスリは飲んだの?
何も食べずに
早い電車に 飛び乗ってたら
体に毒だわ

いつでもあなたのそばに
いてあげたいって思うの
わたしはひとつ残らず
ただ あなたのものよ