思い出の部屋より — 八神純子

あなたの留守にたずねたの
昔のあの部屋
ドアの前で感じたの
なつかしいあなたの匂い
このまま帰ってしまおう
ドアにかけた手を
ポケットに押し込んだなら
涙がこぼれた

もどるところがないのよ
疲れはててしまって
あなたの胸でこの涙
乾かしてほしいの

いけないと思いながら
ドアをひらいたの
私の背に合わせてくれた
鏡はそのまま
そっとのぞいてみたなら
私の涙と
二人であたためあった
思い出が見えた

もどるところがないのよ
疲れはててしまって
あなたの胸でこの涙
乾かしてほしいの