忘れえぬ街 — 五輪真弓

雨がはげしく降る 午後は心なごみ
窓から射してくる 銀色の光で
ガールズ・コミックを読んでいた

高層ビルが遠くに見える
小さな街に 生まれた私
ひとりでも 寂しくはなかった
雨音に包まれていた あの家
今も私を呼んでる街よ

傘を腕にかけて バス停で待ってた
角を曲がってくる ライトが見えた時の
父や母の懐かしさ

神田川の橋の上から
うねるような川の流れ眺め
日暮れても 子供らと遊んでた
夕焼けが鮮やかだった あの丘
今も聞こえる あの呼び声が
今も心に忘れぬ街よ